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SAKURA 開花メーター設置しました!~「桜開花600℃の法則」による開花日の予測~

増川 直裕

■桜の魅力がデータ解析を・・

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今年も桜の季節が来ましたね。コロナ禍で3回目となる桜の季節ですが、毎年、夜の薄明りに照らされた桜を鑑賞するのが楽しみになっています。

 

その夜も桜がとてもきれいでした。何かいつもとは違う魅力を感じていたのだと思います。

 

出張で来た京都にて、大勢の観光客とともに見た桜。そのとき、ふと以前何かの記事で見た桜開花600℃の法則を思い出しました。

 

桜開花600℃の法則

その年の2月1日以降の最高気温を足し算していき、累積温度が600度を超えた日に桜が開花する。

 

本当なのか?そんな簡単なことで開花日を予測できるのか? と思い、宿泊先のホテルにて過去の気温や開花日のデータを入手し、真夜中までデータを解析していたのは、懐かしい思い出です。

 

そのときに、書いた記事が次のものです。

 

参考記事(2017年執筆)

桜開花予想に用いる「600度の法則」を検討する | JMP

 

この記事では、その年の桜が開花した後に、開花日と法則で求めた開花日が一致するかどうかを検証しています。特に意図したわけではなかったのですが、記事を書いた次の年から、桜の開花時期によく見られる人気ページとなりました。

 

そこで今年は桜が開花する前に、この法則を使って開花日を予測できるように、「SAKURA 開花メーター」というサイトを作成しました。

 

本記事では、過去の開花日や気温のデータから600℃の法則は当たっているのかを検証してから、SAKURA開花メーターを紹介します。

 

■”桜の開花日”と”法則による開花日”の比較

下図は、東京における1990年~2021年までの”桜の開花日”(ピンク色) と “累積最高気温が600℃を超えた日”(赤色) をプロットしたものです。縦軸は日付を示し、上にいくほど開花が遅いことを示します。

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桜の開花日を見ると近年は、温暖化の影響なのかもしれませんが、開花は早まっていることが分かります。

 

ピンクの線と赤い線を比較してみると、大きくずれている年もありますが、全体的に見れば、近年の開花の早まり傾向も捉えられており、そこそこ開花日をうまく予測できているといえるでしょう。昨年(2021年)は3月14日と、とても早く桜が開花しましたが、法則による開花日も3月14日となり、ぴったりと一致しました。

 

■開花日と法則による予測の誤差

では、開花日と法則により予測された開花日はどれぐらいずれているのでしょうか。予測誤差として、

 

予測誤差(日) = 開花日 法則により予測された開花日(累積最高気温が600℃を超えた日)

 

の式から各年の予測誤差を求め、グラフ化したのが下図です。青色の折れ線は予測誤差を示し、緑色の点線は、予測誤差にフィットする回帰直線を示します。

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1990年代はこの法則がうまくあてはまらない年が多く、多くの年で値がマイナスになっていることから、法則による予測日は、実際の開花日より遅く予測していることになります。その後、回帰直線が右上がりになっていることから、マイナスの予測誤差は徐々に改善され、近年では、予測誤差が小さくなっていることがわかります。

 

そう、近年、この600℃法則がまあまあ良くあてはまっているのです。

 

併せて、今回、対象とした32年間における予測誤差(日)の分布をヒストグラムとして示します。

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32年間でみると、予測誤差がマイナスとなる年が多いですが、もちろんプラスの年もあります。平均値は-1.25であるため、この期間で平均的にみると、法則よる予測は、1.25日ほど開花日を遅く予測していることになります。しかし、1日程度の誤差しかないのであれば、予測精度としては非常に良いのではないでしょうか。

 

■SAKURA開花メーターの設置

ここまでは600℃の法則で、おおよそ桜の開花日を予測できていることを説明しました。

 

600℃の法則を使えば、現時点での累積最高気温と、週間予報による予想最高気温を用いることにより、7日程度先の範囲内で、桜の開花する日を予測できるのです。

 

下図は、今年2022年の東京における2月1日から1日ごとの累積最高気温をグラフ化したものです。

青色が実際の最高気温について累積したもの、赤色は今後の予想最高気温を累積したものです。

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本記事は3月15日に執筆していますが、前日の3月14日までの累積最高気温が520.6℃です。その後は予報による最高気温を考えると、600℃を超えるのは3月19日(615.6℃)ですので、ちょうど、今週の土曜日に東京の桜が開花すると予測されます。

 

JMPのレポート共有サイトである「JMP Public」では、この桜開花600℃の法則を使い、東京、福岡、仙台の3都市における桜開花日の予測を行っています。桜が開花するまで、できるだけ毎日更新しますので、本当にあたるのかな? とそわそわしながらでも良いので(?)、是非ともご覧ください。

 

SAKURA 開花メーター (2022) | JMP Public

 

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