統計解析ソフト JMP ブログ

プログラミングなしで使える、インタラクティブで可視的な統計解析ソフト「JMP(ジャンプ)」です。統計初心者の方、データ分析を始めてみたい方に向けて情報を発信しています。

東京の6月は平年に対して”有意”に暑かった?~平均分析法による考察~

増川 直裕

先週初め(6月27日)に、九州南部、東海、関東甲信で、あまりにも早い梅雨明けとなりました。今年は6月でも真夏、もしくは真夏以上?の暑さで、体にこたえます。

筆者は、ずっと東京近郊に住んでいますが、こんなに暑かった6月は過去にあったような、なかったような? あまり記憶にありません。ただ忘れているだけかもしれませんので、気象庁のページで東京の過去30年(1993年~2022年)の気温データを取得し、6月の日ごとのデータを取得して分析してみました。

■東京の6月、過去の6月と比べてみると

以下のグラフは、東京について、各年の6月の最高気温(赤色)、平均気温(緑色)を折れ線グラフにしたものです。グラフの上に表示されている数字(27.6, 23.7)は、それぞれ最高気温、平均気温について、最も値が大きかった年の値です。

対象地域:東京(東京都にある“東京”の観測地点)

縦軸の値:各年における1日ごとの最高気温、平均気温を6月に対して平均をとった値

最高気温(赤色)については、年ごとに上昇している傾向が見てとれ、今年(2022年)が過去30年での最も高く(27.6℃)なりました。

 

平均気温も若干の上昇傾向が見てとれますが、最高気温ほど顕著ではなく、最も高くなったのは今年でなく、2004年の23.7℃です。

平年 との比較

天気予報などでは、”明日の天気は、平年より3度高いでしょう” とか “平年より降水量は少ない” といったように

平年と比較するケースが良く出てきます。ここで言う “平年” とはいつを示すのでしょうか?

 

データの引用元である気象庁のページには、気象用語の説明として “平年” とは、30年間の平均値を用いると記載があります。要は過去30年の平均的な気温や降水量と比較して、今年は暑くなる、雨が多くなるなどを報じているわけです。近年は、平年より気温が高くなる、暑くなるといった予報を良く聞くようになりましたが…

 

JMPでは、平均分析法という、グループの平均を全体の平均と比較する機能があります。今度は、この機能を用いて、東京の6月における平年と各年の気温を比較してみます。

■平均分析法

それでは、平均分析法のレポートについて見ていきましょう。

最初は、”東京の6月の平均気温” に対する平均分析法のレポートです。

グラフを見ると、水色で囲われた領域があり、領域の真ん中に平均を示す線があります。この平均がいわゆる”平年” に相当します。この平年に対し、各年が有意に高いか低いかを調べるのが平均分析法です。

 

平均に対し有意に高い場合は水色の領域より上側に点がプロットされ、逆に有意に低い場合は水色の領域より下側に点がプロットされます。グラフの右側には”LDL”と”UDL”の値が記載されており、これが下側と上側の(有意水準 = 0.05 に対する)限界値です。

 

※平均分析法の詳細につきましては、以下のページをご参照ください。

平均分析法 (jmp.com)

 

グラフに戻ると、1995年が平年に対し有意に低かった以外は、すべて、水色の領域に収まっており、平年より有意に高い年はありませんでした。過去3年(2020,2021,2022年)は平均より上側に位置しますが2000年以降の値が大きい年である04年や10年、14年より下側にプロットされていることがわかります。

             

今度は、”東京の6月の最高気温に対する平均分析法” のレポートです。

平均気温と同様に、1995年が下に有意であり、それ以外は水色の領域に収まっています。しかし、直近である2020年、2021年、2022年と連続して値が大きくなっていることが分かります。来年は、領域を上に突き抜けますかね?

 

6月というと梅雨のイメージが強いですが、今後は、暑さが始まる月としてみなされるかもしれません。

■平均分析法の利用

今回は気温のデータで平均分析法を説明しましたが、“あるクラスにおけるテストの平均点”と”学年全体の平均点”を比較するといったように、日常では平均を一種のベンチマークとして、自分のグループを比較するといったケースが多かったりします。そのようなとき、今回紹介した「平均分析法」は、有用な分析方法になるでしょう。

 

■JMPについて

JMP(ジャンプ)は世界中のエンジニア、データアナリストに選ばれているインタラクティブで可視的なデータ分析ツールです。

SNSで様々な情報をお届けしています >
Facebook

Twitter