統計解析ソフト JMP ブログ

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今年の7月は暑かった...ヒートマップで世界の平均気温をグラフ化してみるとさらに暑さを感じるように...

今年の7月は(今年の7月も?)暑かった。この時期の暑さは今に始まったことではありませんが、こう暑い日が連続して続くと、外に出るのが億劫になってしまう今日この頃です。

 

NASAのニュースによると、今年7月の世界の平均気温は、7月では観測史上最も高い気温だったようです。2023年7月は、1951年から1980年までの7月の平均気温を基準として、世界全体では1.18℃高かったとの記述があります。

 

"数十年前と比べて1℃高いだけなのか、大したことないな" と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、気温が1℃上がるだけで大型台風の多発、洪水、干ばつの増加など、人類にとって危機的な状況が起こる可能性は高まると言われています。

 

そこで本ブログでは、世界の平均気温がどのように変わっているかを、主にヒートマップを使って可視化してみます。

 

過去30年の世界の平均気温(1951年~1980年を基準として)

NASAのページでは、1951年~1980年の気温を基準として、該当月の気温差をデータとして公開しています。

 

そこで、過去30年(1994年~2023年)の月ごとの気温差を折れ線グラフと平滑線で示してみます。折れ線グラフには、この期間における気温差の最小値(=0.03)と最大値(=1.37)も示しています。

最小値が0.03なので、過去30年でみると基準(1951~1980)を下回った月がないのです。30年もデータがあれば、1度や2度ぐらい基準を下回った月があってもよさそうですが、、、これは驚くべきことです。

 

平滑線(青色の線)も見ると、気温差が上昇傾向にあることは明らかです。ただ局所的にみると、上昇幅が大きかったのは2014年から2017年あたりとなり、ここ数年はそんなに上昇しているわけではないことがわかります。

 

ヒートマップの作成と色のグラデーションを設定

この折れ線グラフだと年や月ごとの比較が難しいので、「ヒートマップ」を作成してみましょう。気温を可視化するので、"ヒート" マップですよね。

 

JMPの「グラフビルダー」を用い、年を縦軸、月を横軸、気温差を色に設定したとき、デフォルトの設定では次のようなヒートマップが描かれます。

グラフ右側に凡例が表示されますが、濃い赤色の月ほど基準と比べて気温が高いことを示しています。

 

逆に"濃い青色の月ほど基準と比べて気温が低いことを示している" かというとそうではないことに注意です。

 

先に示したように、過去30年ではすべての年、月で基準の気温を上回っているのです。

しかし、青色は涼しいイメージがあるので、このグラフを見る人によっては、濃い青色ほど基準より気温が低かったようなイメージを持ってしまうかもしれません。

 

そこで、凡例を右クリックして [グラデーション] を選択し、色の設定を変更してみましょう。

 

主に変更するのは、下図の赤枠で囲んだ2点です。

  1. カラーテーマの変更:この例では同系色の色で、値が大きいほど色が濃くなるようなテーマを選ぶと良いでしょう。(ここでは 黄色→赤色 のカラーテーマを選んでいます。)
  2. 最小値、最大値の変更:この例では0以上の値しかとらないことがわかっているので、値の最小値を0としています。

 

グラデーションを変更したカラーマップです。このカラーマップだと見ているだけで暑苦しいですよね(苦笑)。

カラーマップの横方向(年)を比較すると、やはり以前から現在にかけてどんどん暑くなっていることがわかりますし、縦方向(月)を比較すると、近年では1月から3月が暑くなっていることがわかります。

 

今年(2023年)の7月は確かに他の年に比べて濃い色になっています。ただ、今年の6月も他の年に比べて濃い色になっているように感じます。

 

ヒートマップでは、データ全体を俯瞰して値が大きい/小さいを比較しやすいのですが、細かい色の濃さの違いは時によって視覚的にわかりにくいことがあります。

 

一つの対策としては、ヒートマップに値ラベルを付けることです。グラフビルダーの左側で設定できる「ラベル」を [値ラベル] に変更すると、各セルに値が表示されます。

確かに今年の6,7月は、他の年に比べ最も気温が高かったことが正確にわかります。ただし、データビジュアライゼーションの観点から考えるとこのようなグラフはシンプルさを欠くので、誰かに見せるグラフとしてあまりお勧めはできません。あくまで分析者の確認用として値ラベルを表示することを覚えておくと良いでしょう。

 

折れ線グラフも作ってみる

もう一つの対策としては、別途、折れ線グラフを描くことです。下の折れ線グラフは月を横軸、気温差を縦軸にし、年ごとに描いたものです。年に色のグラデーションをつけているので、年ごとに気温が高くなっていることもわかります。

2023年のみ強調表示させていますが、今年6月と7月の気温の高さが顕著に見てとれます。

 

それ以外にも、赤色のグラフがほとんどどの月も縦軸の上側に位置しているのが気になります。近年は月を問わず、以前の同月に比べれば1℃ぐらいは暑くなっているのです。

 

ここではあくまでも世界の平均気温を考察しているので、地域ごとの暑さにばらつきがあるはずですが、世界全体を平均的にみたとき、徐々に気温が上昇しているという事実は知っておくべきでしょう。

 

ここ数年で、ヒートマップに青色を使う時が来ると良いですね。

 

最後まで読んでいただき有難うございました。

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by 増川 直裕(JMP Japan)